僕が大学生のときに、怒涛のように押し寄せる試験を前になんとなく考えていた疑問を今回調べてみました。
寝ながら勉強できるのって、ダメ学生の夢ですもんね。
筆者の苦悩から生まれた試験勉強法
僕がまだ大学生の頃。医学部の試験は1日に2~3科目詰め込まれていることもザラに存在していました。
僕のような、前もって着実な準備をすることのできない学生は前日に学校に泊まり込み、必死に過去問や授業レジュメを頭に詰め込むのですが、、、。
今思い返すと、これはもはや医学部テスト期間の風物詩ともいえる光景な気もしています。(やってる本人は本当に気が気ではないのですが・・・。)
時間が本当にないので、どのようにすれば短期間に記憶を詰め込むことができるのか知恵を絞らせるわけですが、そんなときに思いついたのが完全な徹夜は諦めてしまって、どこかで聞いたことのある「睡眠学習」に頼る(逃避する?)という方法でした。要は一晩中、起き続ける根性は僕にはなかっただけなのですが。
まずは、過去問の束をごっそりと目の前に置いて30分ほどはレッドブルと大音量の音楽で集中力を持たせながら情報を頭にぶち込んでしまいます。そんな集中力は長くは続かずすぐに切れてしまうので、インプットのあとは潔く眠ってしまいます。椅子で横になると、朝まで寝てしまうので机でそのまま突っ伏します。時間は30分間で、タイマーをかけて目が覚めるようにしておきます。
そして目が覚めたとき、それはそれは最悪の目覚めなわけですが、単位を落とすと即留年なので鞭打って再び勉強を再開するのです。そしてまた同様のインプットを行い、短時間寝る・・・・。これを朝まで繰り返します。
こんなことを繰り返してみて気づいたのですが、不思議なことに「確かに短時間睡眠のあとに記憶の定着が強くなっている」のを実感したんです。
僕の身を持った実験(逃避?)から、やはり睡眠学習は実在するという示唆が得られました。そして、どうやら単純な記憶の定着強化という点にだけ着目するのならば、(僕の体感からですが)30分程度の仮眠でも十分効果があるように感じられました。
短時間睡眠と記憶の関係
こんな与太話だけの記事を世の中に出すわけにはいかないので、この実体験を裏付けるような研究が過去に存在したのかどうかを調べてみたのですが、たしかに存在していました。
Olaf Lahl博士が2008年にJournal of Sleep Research誌に投稿した「An ultra short episode of sleep is sufficient to promote declarativememory performance」という論文です。
タダで読めるので、興味のある人は原著を読んでみてください。わかりやすい図表だけ以下に引用させていただきます。
この実験では被験者たちに30個の単語リストを2分間で記憶するよう指示して,1時間後にどれだけ覚えているかを測定しているのですが、
テストまでの間は,起きたままか,6分間のうたた寝をするか,平均35分間の昼寝をするかのいずれかというパターンに分けられています。
この結果、を端的に表現するならば以下のようになり、図にも同様のことが示されています。
- 暗記のあとは起きておくよりも短時間(たとえ6分間であっても)でも昼寝をしたほうが定着が増進する。
- 暗記のあとに、短時間睡眠を行う場合、6分より30分のほうが定着率は良い。
この実験のおもしろいところは同じ短時間睡眠であっても、6分間という超短時間睡眠にも目を向けている点です。そして、超短時間睡眠にも記憶の定着作用は確かに存在すると示しているのです。
まとめ
記憶をするためには、当然インプットの時間も必要なので、睡眠学習がいくら立証されているからといって眠ってばかりというわけにはいきません。
しかし、短時間睡眠は記憶の定着以外に、単純なリフレッシュ効果も有しています。
記憶を効率的に行いたいのであれば、「インプットの量⇔睡眠による定着促進⇔疲労」のバランスを常に考えることで効率化を行える可能性があります。
いままで、勉強に関していえば、時間のことをただの時間泥棒とおもっていた方も多いんじゃないでしょうか。でもそれは非常にもったいないと言えそうです。
睡眠の作用を理解してあげることで、睡眠も学習の味方につけてしまいましょう。
引用:An ultra short episode of sleep is sufficient to promote declarative memory performance. Olaf Lahl,and et al.